(CNN) 米サウスカロライナ州でレストランを経営するエリオット・ミドルトンさん(38)は幼い頃、敏腕整備士だった父親の後をついて回り、次々と車を丁寧に修理する父の姿を見て育った。そんな父の死後から1年も経たないうちに、ミドルトンさんは父から受け継いだ技術でぼろぼろになった中古車を修理しては、公共交通機関の乏しい同州の田舎町の人たちに車を無償で提供している。 ミドルトンさんは車を譲ってくれる人に対し、彼が経営するレストラン「ミドルトンズ・ビレッジ・BBQ」のリブ肉一皿を提供することで中古車を調達している。また、このプロジェクトの資金を確保するため、オンライン上で資金調達キャンペーンも立ち上げた。 「車がなければキャリアも積めない。バスも配車サービスのウーバーにも頼れない人たちは、より大きな仕事を見つけられる港湾局や工業中心地のある都市部へどうやって行くのか?」「条件の良い仕事場まで何十キロも歩いて行くことはできない。彼らは生きるために必要な給料をはるかに下回る末端の仕事に甘んじるしかないのだ」とミドルトンさんは話す。 これまでに100台の車を収集し、修理した車を33人の地域住民に寄付したミドルトンさんだが、これらの見返りを彼は一切求めていない。ミドルトンさんは「車を与えることで彼らの生活を変えることができる。自分自身を向上させたいと思っていても、それを交通手段によって妨げられている全ての人を助けたい」と語っている。 ミドルトンさんが、困っている人に車を贈るというアイデアを思いついたのは、彼がフードドライブ(食品を生活困窮者などに提供する取り組み)を企画し、自分のレストランのバーベキュー250箱を配布した2019年11月のこと。配布を全て終え、あとどれぐらいの人が食料を求めて待っているかを確認するため外に出てみると、2ブロック分の行列ができていたという。 その時、彼はほとんどの人が町の反対側に向かって歩き始めたことに気付いた。「何人かに話を聞いてみると、彼らは食料を受け取るために5~6.5キロ歩いてきたが、車がないから間に合わなかったという。私はそれを知って、ひどく取り乱してしまった」と彼は振り返った。 ミドルトンさんにとってこの体験が人生の転機となった。「自分の時間と技術を積極的に地域社会に還元しよう」と決意したのだ。 「彼は神が与えた特別な人」 メラニー・リーさん(59)は、病院のベッドで闘病生活を送っていた息子を見舞うために、2007年式のシボレー「タホ」を何時間も運転した4カ月間のことを覚えている。息子を埋葬した一週間後の2020年11月、リーさんの車はこれまでの長距離走行がたたり故障し、彼女は息子が残した子どもたちに会いに行くことができなくなった。 「車が故障して、私自身もダウンしてしまった」と、リーさんはCNNに語った。「息子もいないし、交通手段もない。どうやって孫の人生に関わっていけばいいのか。どうすればいいのか」。当てにできる交通手段がなく、彼女は買い物にも教会にも行くことができなかったという。 ミドルトンさんは、リーさんの甥(おい)でアンドルーズ市長のフランク・マクラリーさんからリーさんの話を聞き、車を一台寄付することに決めた。数週間後のクリスマスの朝、リーさんの家族は彼女を玄関まで連れて行くと、玄関前のドライブウェーには1993年式の白色のオールズモビルが止められていた。 リーさんは「非常に圧倒された」という。「一体誰がこんなことを? クリスマスの朝にやって来て、車をくれて、車の鍵をくれて、車の所有権までくれるなんて。それも無条件で。これまでの人生で何かに勝利したことなんてなかったけれど、まるで自分が勝ったような気分になった」 感動の涙を流し、抱き合い、ミドルトンさんへの感謝の言葉を述べた後、リーさんは新たな人生を始める準備が少しできたように感じたという。 「自由を取り戻した」と話すリーさん。「エリオットは神が与えてくれた特別な人。彼がやっていることには意味がある。あの車は私にとって本当の意味で天の恵みだ」と述べている。 慈善活動で自分も他人も癒やす ミドルトンさんは、週5日は早起きして自身が経営するアウェンドーにあるレストランの仕込みをする。ハムやターキー、砂糖漬けのヤム、インゲン豆、コラードなどを調理するが、一番の人気料理はリブのグリルで、これを求めて各地から人が集まってくる。 休日の2日間は娘2人と一緒に過ごしたり、車を修理したりして過ごしている。ミドルトンさんは、父親のケビン・ウェイン・ミドルトン・シニアさんと共に17年間仕事を続け、04年には自分たちの整備工場も立ち上げた。2人はミドルトンさんがフードトラックを始めるまで、10年間工場を経営していた。だが、20年2月半ばに父親が重病を患い、その数週間後に亡くなった。 「私の人生はあっという間に変わり始めた」。亡くなった父を埋葬したわずか数週間後の3月、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるロックダウン(都市封鎖)措置に伴いレストランが営業規制される3日前、彼は自分のレストランの契約書にサインした。彼は非常にストレスを感じ、自分は何をしたのか、この先どうすればいいのかと考えたという。 だがミドルトンさんに嘆き悲しんでいる暇などなかった。彼は全てのエネルギーをレストランに注ぎ、ドライブスルーやデリバリー、路上ピックアップなどの営業スタイルに軸足を移し、経営を維持した。彼の心が癒やされ始めたのは20年9月、見知らぬ人のために車を修理するようになってからだ。 「たくさん問題を抱えた車を修理するのが好きだ。それは父と話せる時間だし、修理はいつも2人で一緒にやってきたことだから」と彼は言う。また、「父がすぐそばにいるような気がする。車を修理することで、車を必要としている人を助けるのと同じぐらい、自分自身も救われている。父がもうここにいないという事実に折り合いをつけることができるから」と語っている。 地域社会への貢献 ミドルトンさんは、全ての人を助けることが大事だと信じているが、社会からしばしば忘れられがちな南部の農村地域に住む善良で勤勉な人々のことを、放っておくことはできないという。 「私たちは忘れ去られてしまった地域社会を思い出す必要がある。人々は大都市には目を向けるが、田舎町やそこに住み助けを必要としている人たちのことは忘れている。彼らは人間であり、アメリカ人だ。我々は彼らの面倒を見るべきなのだ」 彼にとって見ず知らずの人を助けることは、単なる善行ではなく、使命であるという。 ミドルトンさんと8年来の友人であるマイク・ジェニングスさん(31)はCNNに対し、こう語っている。「エリオットがようやく正当な評価を得られたことをうれしく思う。プロジェクトがこれほど大きくなるとは彼も予想していなかったと思うので、本当に素晴らしい」「彼は予想をはるかに上回ることを成し遂げた。それを目の当たりにすることができるのはうれしい。私たちは皆、彼に感謝しているし、彼を誇りに思っている」 ミドルトンさんと同じく整備士のジェニングスさんは、ミドルトンさんに感銘を受け、他人のために車を修理するミドルトンさんを手伝うようになった。 20年11月、ジェニングスさんの車が故障した。当時は新型コロナウイルスのパンデミックで金銭的に苦しく、車を修理すれば、仕事を失った婚約者と4歳の娘を養う余裕がなくなるという状況にあった。それでも彼はいつもミドルトンさんのプロジェクトに参加することを楽しみにしていた。 12月のある日、ジェニングスさんが修理を終えたばかりの2000年式のスバル「フォレスター」を片付けていると、ミドルトンさんが彼に向かって「そのスバルは君のものだよ」と言った。 「まさかそんなことを言われるとは思ってもいなかったので、とてもびっくりした。エリオットは僕のことも考えてくれていたので感動した。本当にありがたかった。もう仕事場にどうやって行こうかと心配したり、人に頼ったりしなくていい。本当に困っていたのだが、彼にだいぶ助けてもらった」とジェニングスさんは振り返る。 先週ジェニングスさんは失業してしまったが、親友のミドルトンさんがここでも助け舟を出した。最近、自身のプロジェクトを「ミドルトンズ・ビレッジ・トゥ・ビレッジ・ファンデーション」という非営利団体に改組した彼は、ジェニングスさんをチームの一員として採用したのだ。 ミドルトンさんはこう語る。「多くの人は自分の状況を打ち明けようと牧師や精神科医を頼るが、地域社会を頼る人もいる。そのために私はここにいる。助言でも、おしゃべりでも、車の修理でも、私は常に地域社会のためにここにいる。私はいつでも地元の人々を助けていく」

全文は、こちらになります。

以下が、レストラン店主、壊れた車集めて空き時間に修理 困っている人々に贈る / 皆さんのコメントになります。

コメント数、33

  1. 1 gny***** 2021-07-25 13:45:49
    貧しい人にとって彼はヒーローだね。アメリカはエンジンが昔から型式が共通のことも多く、古い車を直し直し乗っている人が多いから無償で修理するだけでも助かる人は多いだろう。
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  2. 2 vega 2021-07-25 13:38:14
    日本で同じことをしても、かなりの迷惑になってしまう。やれ税金だの車検だの、もらっても維持しきれないだろうな。
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  3. 3 yuz***** 2021-07-25 14:06:11
    見返りを求めることなく人の為に自分の時間を使い困っている人を助けているところがとても尊敬します。私も出来る範囲で親切を心掛けたいと思う。
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  4. 4 sak***** 2021-07-25 13:47:25
    立派な人だな。仕事を続けながら、自分の経験を使って、休まずたゆまず人を助けるって。
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  5. 5 tak***** 2021-07-25 14:11:41
    日本の場合は、車種が多いのと部品保有年数がある事。あと、車種によって、バッテリーの大きさやエンジンも違うので、直して使っている人の方が少ないと思います。
    そのほうが高くつく場合も結構あります。
    私の車はもう購入して20年なりますが、税金が高くなりました。
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  6. 6 meica 2021-07-25 14:12:01
    本当に頭脳明晰な人ですね。
    料理もするし整備士もできる。
    日本には器用貧乏あれど器用有望って言葉はないけど、こういう活動出来る文化じゃないからかな。
    素晴らしい人です。
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  7. 7 gys***** 2021-07-25 13:38:07
    近所にこんな親父がいたら一緒に作業したい。
    直すのはたのしいよなぁ。
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  8. 8 mat***** 2021-07-25 14:11:53
    日本では自転車の無料提供が・・・・と言いたいけれど、やれ保険の加入だ、
    やれ防犯登録だとやたらお金が掛かり過ぎて自転車ですら無料で提供できない
    環境になってしまいましたね。
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  9. 9 can***** 2021-07-25 14:12:19
    ホント素晴らしい
    見返り求めずここまでやれるなんて

    ここまで出来なくても自分に出来る範囲で親切にしたい
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  10. 10 ジョーカプチーノ 2021-07-25 14:24:48
    この記事、この人をよく見てくれ!
    私が言いたいのはこう言う事。
    飲食店はこの切り替えが出来ないし、考えない。待ってれば良いと思ってる。
    そもそも、店を守るアイデアが出ないお店は閉店すれば良いのだ!
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  11. 11 shu***** 2021-07-25 13:40:11
    素晴らしい!
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  12. 12 kit***** 2021-07-25 14:06:56
    古き良きアメリカ人の善意を見るようだ!
    私も半世紀程前にボーイングに勤めるアメリカ人の家にホームステイしたことがある!
    見ず知らずの東洋人を暖かく迎えてくれた事を思い出す!
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  13. 13 low***** 2021-07-25 14:16:38
    ミドルトンさんは、リーさんの甥(おい)でアンドルーズ市長のフランク・マクラリーさんからリーさんの話を聞き、車を一台寄付することに決めた。って
    甥っ子が市長なら車あげなくても良くない?市長が面倒見なよ。
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  14. 14 nif***** 2021-07-25 13:40:47
    この国にもこういう人はいますが、政治家の方がちょっとねー
    パーフォーマンスじゃなくてね
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  15. 15 yui***** 2021-07-25 14:44:31
    良い人と思うが日本人の感覚だと車は所有後が税金、故障、人により駐車場、保険、が大変だし
    13年で増税だし、田舎の公共交通が不便な地域の車所有は減税、免税にしてもらいたい
    車が無いと生活に支障がありすぎだから
    日本の政治家は税金取るのに必死!
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  16. 16 gan***** 2021-07-25 13:50:42
    こういうニュースみると神様っているんだなと思う。
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  17. 17 gtr 2021-07-25 13:57:13
    思いやりがあって立派な人だな。
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  18. 18 stopolympic 2021-07-25 14:18:14
    アメリカは日本とちがって自動車に理不尽な税金ないからね
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  19. 19 86club 2021-07-25 14:20:53
    素晴らしい話!
    うちの亭主が益々能無しに見えます。
    ハネタク頑張って~~!
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  20. 20 kib***** 2021-07-25 14:56:09
    アメリカでは車は足でしょうから、日本でも田舎に行けば足ですネ
    付け焼き刃的な我が国の物を大切にしましょうよりも海外の方が本当に大切にしていると思える。
    我が国では自転車操業ってやつで、次から次へと新陳代謝しないとT自動車等も成り立たないのでしょう。
    経年の自動車関連の税の増額、其れも重量税まで増額なんて酷いものでしょう。古くなれば車の重量が増える国なんて日本だけでしょう。トラックの方がよっぽど道路を痛めているだろうに軽減処置があったり、エコカー減税の皺寄せを他の車所有者が被るなんて全く変な話です。
    燃料にかかる税も何重にも掛かっているし、諸外国ではどうのこうのと言うならこう言うところもグローバル化を叫んで欲しい。
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  21. 21 uki***** 2021-07-25 14:36:09
    日本で、クルマが高いと嘆いている方へ。

    中古の国産車なら、格安だし。

    どんなクルマでも良いですよ。ただし、軽やハイブリッド車や人気車ハイパワー車でなければ。

    今は、YouTubeでどんなことも学べます。自分で、メンテナンス、やユーザー車検をやればハードルは下がります。ひろゆき氏の「1%の努力」ってやつです。
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  22. 22 2021-07-25 14:46:45
    失業しても非営利団体職員になれてよかった。
    こういう人がちゃんと生活できる仕組みって必要。
    2 0
  23. 23 dark claw 2021-07-25 14:37:09
    良い話だが保険未加入やら整備などの維持が出来ない人は乗るべきではないとは思うんだよな。。
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  24. 24 grh 2021-07-25 14:44:39
    日本じゃ無理だな。まず、保険に入るのが最大のネックでしょ。保険に入ってないクルマなんか迷惑以外のなにものでもない。
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  25. 25 国見秋保 2021-07-25 14:30:33
    素晴らしい。感動した。
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  26. 26 ich***** 2021-07-25 14:23:27
    市長の甥よ
    叔母に車くらいプレゼントしてやれよ
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  27. 27 令和ソルジャー虎組XJAPAN 2021-07-25 14:30:58
    俺も売ってほしいわ!
    いくらやねん?
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  28. 28 cng***** 2021-07-25 14:54:38
    海外の事情はわからないんだけど、
    車もったら、維持費がなかなかだけど
    海外は違うのかな?
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  29. 29 ajwpgamx 2021-07-25 14:41:12
    お考えは素晴らしい。
    実際、壊れた車ならどうしても部品代が発生すると思いますがどうするのかな....
    0 3
  30. 30 len***** 2021-07-25 14:15:36
    ノーベル平和賞決まってしもたよ
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  31. 31 hay***** 2021-07-25 14:40:26
    車検が無いっていいよな
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  32. 32 han***** 2021-07-25 14:28:25
    私も手伝いたい
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  33. 33 ebh***** 2021-07-25 14:58:59
    アメリカか日本みたいに訳わからない税金ないからな
    日本がいかにバカか分かるよ
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